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俺は柵の上に上り、腕を使ってキマイラの頭上に跳ぶ。柵がグニャリと曲がった気がするが、そんな事は気にしない。
流石に危険を感じたのか、キマイラは素早くその場から退き、俺が地面に降り立ったと同時に走り出した。
『グォオオオオオオオ!!!』
キマイラは素早い動きで俺の前に来ると、大口を開けて食らい付いてきた。俺は籠手を盾にしてキマイラをはね除ける。
すると、背後から三匹のキマイラが襲い掛かってきた。
(ちぃ!あの一匹は囮か!!)
俺は小さく舌打ちをし、腰を捻る。そして、キマイラの頭に全力の裏拳を叩き込んだ。
ブシャア!!とキマイラの頭が水風船の様に弾け、頭を失った身体は俺にのし掛かってきた。だが、そのお陰で俺の身体はキマイラの下に隠れ、二匹の攻撃を防ぐことが出来た。
俺は上に乗ったモノを撥ね飛ばし、立ち上がる。しかし、目の前にキマイラは居ない。
右にも、左にも。
(消えた?……いや―――)
「――上か!!」
俺は急いで後ろに飛び退く。すると、先程まで俺が居た場所を、キマイラがその巨体で潰していた。
『グルゥ!?』
キマイラは降り立った場所に俺が居ないことに驚き、地面を見続けている。
「隙だらけだぜ?子猫ちゃん!!」
俺はキザったらしい皮肉を洩らし、キマイラの真横に移動し、胴体を引き裂いた。
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