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『ビギャァアアアアア!!』
醜い叫び声が、夜の公園に響き渡る。しかし、それは人間の出した声ではない。
俺の目の前にいる、名も無き『悪魔』が出した声だ。
「全く……、最近多いねぇ。『下級悪魔』の侵入が。面倒臭ぇったらありゃしねぇ」
俺はボソリと愚痴を洩らす。すると、俺の腕に付いた『物』から声が響いてきた。
『まぁそう言わないでください。これも世界の為ですから。それに……』
『物』の声は一度止まり、大きく深呼吸をするように振るえると、ゆっくりと言葉を紡いだ。
『それに、運命の歯車は動き出しました。先程、何者かの手によって封印が破られ、『ゴエティア』が世界中に散らばってしまったそうです』
俺はある単語を聞いて、肩を震わせる。『ゴエティア』。
それは強大な力を持つ『悪魔』が、この世界に確実に出現し、尚且つ姿を保つ為に作り出した、パイプであり制御装置の様な物だ。
『ゴエティア』は人間に取り憑いて魂を喰らい、操り、『悪魔』を召喚させる。『悪魔』を召喚した者は自我を奪われ、『悪魔』となってしまう。
そして、召喚した『悪魔』の餌になってしまうのだ。
しかし、それはあくまで制御が必要な『強大な力を持つ悪魔』のみにある物で、先程俺が戦っていた制御の必要無い『力の無い悪魔』は、『ゴエティア』無しでも少しの『綻び』からこの世界に出現出来るのだ。
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