目次 始まりの夜

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俺は、二年前からこの様な『下級悪魔』達と戦ってきた。だが、それも今日までだ。 『下級悪魔』がこの世界に出現するのは、『ゴエティア』の封印を解き、『上級悪魔』を出現させる為だ。しかし、『ゴエティア』の封印が解かれた今、『下級悪魔』がこの世界に来る理由は無くなった。 おそらく、現存する『下級悪魔』はこの世界から消えるだろう。 「まぁ、状況は悪くなってんだけど……な」 俺はそう呟いて両腕に付いた『物』を外す。すると、『物』が消えて一冊の本が現れた。 『聖書(クリア)』、と呼ばれる本だ。『聖書』とは、『天使』や天界の武器を召喚することが出来る本で、『悪魔』を殺すことの出来る唯一の物だ。 しかし、この本には幾つかの制約が存在する。まぁ、それは何れ語ろうか。 俺はゆっくりと公園の出口に向かって歩き出す。 「さぁ帰ろう『神の腕(ゼルエル)』。『ゴエティア』探しはまた明日だ」 俺は、いつの間にか隣居たフード付きのローブで顔を隠し、その下に純白の修道服を着た者にそう言った。修道服を着た者は、クスリと笑い、 「ええ、そうですね、我が主にして世界を繋ぐ『門(ゲート)』、上原 魅王(かみはら みおう)様」 そう言った。その声は、『物』から出ていた声だった。
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