車窓

3/6
前へ
/6ページ
次へ
しばらくすると、ホームにそよ風が優しく吹き抜ける。 ほてった体、一服の清涼感を与えてくれると同時に花の香りを運んできた。 吹き込んでくる風の方を見ると、階段から白いワンピースを着た女の子が階段を上ってきた。 歳は同じくらいかな。 目立って美人ではないが、彼女の纏っている清潔感と背筋の伸びたピンとした歩き方が育ちのよさと可愛さを醸し出していた。 しばらくすると、待ちに待った電車がくる。 四両編成の見慣れたサビの入った緑色の電車。 乗客もあまりいないので、後部車輌の一番後ろの席が俺の指定席となっていた。 座りながら、一番後ろの窓から流れ去って行く景色が好きだった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加