車窓

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彼女はどこに行くのだろうか。 もう一度、目のあった時の顔を思い返す。 胸が高鳴り、ドキドキする。 そうやって、車窓から見える景色と反射する彼女を一枚の写真のように、いつまでも眺めていた。 神様、この時間よ、永遠になれ、と思い眺める。 しばらくすると、電車が停車し、彼女は腰を上げた。 そして、俺の前を通る。 一気に緊張が走る。 一瞬、声を掛けようとしたが、声は出なかった。 声を掛ける勇気がなかった。 でも、彼女の顔を姿を間近かでもう一度だけ、見ることができた。 そして、彼女は降りていった。 俺は見慣れた景色に、車窓に投影した彼女の姿を思い返した。 彼女が残した花の香りが 胸に甘酸っぱい余韻を残していた。 いつの間にか、花の香りも消え、いつもの車輌と車窓となっている。 携帯電話がまた鳴る。 ヒロからだった。 『着いたぞ。あと、どれくらい着く?くそ暑いから、一分で来い!』 と知っていて無茶なことをメールする。 俺は吹き出しながら、メールを返した。 おしまい
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