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「フロウ、キミはなんて大胆な人なんだ……」
サンファが呆れたような、なんとも言えない表情で俺を見てくる。
「俺ってなんかミスったか?」
「あぁ、本音と建前が真逆になっていたな」
あぁ、そうか。だから先輩は真っ赤になって
「あぅあぅ……」
可愛く呟いているんだな。そっかそっか………え?
「はぇ?」
「そう、キミは大胆にも――リア先輩は俺の嫁!!異論は認めないっっ!!!――と大声で言い切ったのだ。さすが私の婿だ」
どこか誇らしげに、頬を緩めながら優しい声で言う。
「やんっ!そんなに見つめないでっ!」
空・気・が・死・ん・だ
「ハハハハ!じゃ、そーゆー「ガシッ」……え?ちょっと、俺の肩を掴まないでよ」
「逃げるのはよくないぞ」
俺の肩を掴んだのは、サンファであった。
笑顔で言っているが、その身体のどこにそんな力があるのかと思わせるほど、強い力で掴んでくる。
「……あぃっす」
そんなサンファから俺が逃げ出せるわけがなく、普通にリア先輩の下に連行された。
リア先輩はある程度落ち着きを取り戻したらしく、ちゃんと俺と視線を合わせてくる。
まだほんのりと頬が紅く染まっているが。
「こんにちは、リア先輩」
「こ、こんにちは?」
そうだな。そりゃいきなり挨拶されたら戸惑うわな。
先輩の困惑した顔、最高!!
変態?それがどうしたっ!!
「こーり君。私と初めて出会った日のこと覚えてる?」
「はい。もちろんです!」
そう、あれはいつも通り学校から帰ろうとしたときだった。
‡‡‡
十数年前、とある日
「ふぅ、今日も一日が終わったな。いや、まだ終わってないけどほとんど終わりみたいなもんだからな」
そう言いつつ、鞄から携帯を取り出す。
「あれ?」
取り出す。
「あれれ~?」
と、取り出す。
「あるぇ?」
サイドポケットから取り出す。
「なん……だと……」
どこにもないんですねわかります。
「わかりたくないから!!はぁ、学校に忘れたパターンだな。こりゃ。めんどい、が、携帯がないと暇過ぎて死ぬ……」
仕方がない。取りに戻ろう。
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