どこの学校にも馬鹿とアホと変態と主人公はいるもの。

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「すみません、名前を聞いてもいいですか?」 それとなく話を逸らしたわけじゃないよ?ほんとだよ?マジだかんな! 「あ、うん。いいよ。私は星水リリア、よろしくね♪」 人懐っこい笑みを浮かべて、名前を教えてくれた。 「ほら、私も教えたんだから、お姉さんにも教えなきゃだめだぞ」 おっと、少しぼーっとしてしまっていたようだ。 「俺は天立 氷花です」 「氷花……それじゃあこーり君だね!」 「え、あ、はい」 なんかよくわかんなかったが返事をしてしまった。 べ、別に嫌とかそうゆーのじゃないからいいかな。 「それで、先輩はここで何をしていたんですか?」 「うっ……わ、笑わない?」 頬を赤く染めて、ちらちらとこちらを窺いながら小さな声で言う。 可愛い!! 「笑いませんよ」 「そ、そうだよね!私は夕焼けを見ていたんだよ!」 「俺と一緒ですね」 「そ、そうなの!?」 先輩は驚きの表情を浮かべている。 俺も内心ではかなり驚いている。 こんな時間にこんな場所で会った人が、偶然にも同じ目的だったんだし。 「はい。俺もたまたま教室で外の景色を見て、夕焼けを見たいなぁって思ったんでここにきたんです」 今の俺からしたら、夕焼けよりも先輩に会えたことの方が嬉しいけどな。 「ふふふ、私とおんなじだね。も・し・か・し・て~~、私に会いたくてきたのかなぁ?」 背筋がゾクゾクするような声を出しながら、俺の方に歩いてくる。 「ど、どうしてわかったんですか!?」 「え、ええ!?ほんとに私に会いにきたの!?」 妖艶な顔から、頬を赤くしてびっくりしている子供のような顔に変わる。 よく表情の変わる人だな。 「はいっ」 「そ、そうなんだ」 より赤くなって、静かになる。 「冗談です」 「なななっ!!」 なんという可愛さなんだろうか。お姉さんだったり子供っぽかったり。 「も、もう!先輩に嘘ついたりしちゃだめなんだぞ!」 「う、でも「めっ!」……すみません」 私、怒ってますポーズをして可愛く怒っている。
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