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先輩との楽しい一時は瞬く間に過ぎ去り、先輩の家に到着した。
先輩の家は一般家庭の数倍の大きさで、かなりの驚きだ。
「先輩、また会えますよね?」
どこかの小説の死亡フラグ的なものを言う俺。
「もちろんだよっ!」
そんな質問に対して、満面の笑みで先輩は返してくれた。
こころなしか先輩の言葉の語尾も踊っていたような気がする。
「はい!それじゃあ俺も帰りますね!今日はすごく楽しかったです!ありがとうございました!!」
先輩にそう言うと、俺は身を翻し、自分の家に向かって走る。
先輩に今の俺の顔を見られるのは困ったからだ。
先輩の笑顔で赤くなり、しかも頬が緩んでデレッとしている顔。
こんなん見せられっか!!
走り去るとき、先輩が「私も楽しかったよ!」と言ってくれた気がした。
家に帰り、ベッドでごろごろ転がり、身悶えしたのは言うまでもない。
‡‡‡
これが先輩との出会いだ。
最初から気にはなっていたんだろう。
あの人の笑顔を守りたい。二度と悲しませたくない。
てな感じで。
この前、サンファが初恋だと言ったのは正しいが正しくない。
こっちの世界に来てからの初恋はサンファで、地球ではリア先輩だったということだ。
嘘つき?そんな簡単なことも見抜けないような馬鹿がいけないんだよ!!
「あのときの先輩はすごく綺麗でしたね。儚くて、美して、何よりも優しそうでした」
「それでね。あの……少し目をつぶっていなさい!これは先輩命令です!!」
「わかりました!」
先輩命令というのは先輩固有のもので、俺にのみ適用される。
これを言われると反射的になんでもしてしまうのだ。
今も、先輩に言われたようにすぐさま目をつぶった。
どこか恥ずかしそうにしていた先輩が印象的だった。
ふむふむ、目をつぶると色々と考えるようになるんだな。
これぞ妄想想像主義者の力か。
「……ちゅ」
俺が思考の海に陥っていると、俺の唇に何か柔らかなものが押し当てられた。
この感触はきっと唇だろう。
って、え?
急いで目を開くと、目の前に瞼を閉じた先輩の可愛らしく、綺麗な顔があった。
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