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カナから届いたメールを開くと一枚の写真が添付されていた。
僕とカナが一緒に写っていて、一ヵ月くらい前に撮った写真だ。
場所はふらりと立ち寄った
有楽町駅前のダイニングバーだった。
確か時間は午後九時を過ぎた頃だったと思う。
僕が歩いていた歩道の反対側の通りにあって、薄暗い照明の店内にぶら下がっている淡いオレンジ色の光を放つ裸電球がなんだか懐かしい感じがして僕は夏の羽虫のように店内に吸い寄せられた。
一番右端のカウンター席に座ってウイスキーを飲んでいた僕に最初に気付いたのは、カナのほうだった。
白い薄手のブラウスに、襟のある黒いジャケットを着て、長かった髪は肩に着くほどのボブヘアになっていた。
焼酎かあるいはウォッカのような、透明な液の入ったグラスを持って僕の隣に座り、大学生の頃からこの店に通ってるのよ。と言うと、白い布でワイングラスの縁を擦っていたウェイターに手を振った。
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