究極の愛

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  探し物をしていて押入の中を開けたとき、まゆちゃんが 「きゃー」 と叫んだのです。  あわててかけよったのんちゃんも、それを見たとき言葉がありませんでした。  そこにあったものは、庭に埋めたはずの子猫の死骸でした。  ミュウは、我が子のことを忘れたわけではなかったのです。あきらめきれずに探し出し、いつでも《会える》場所に隠したのです。  ミュウが愛情あふれる母親であることは十分分かりましたが、臭くてたまりません。  悪いと思いつつも、また少し離れた所に埋めました。すると、ミュウはまた気が狂ったように泣き、探し始めました。  そして、泣かなくなったと思うと、また押入の中が臭い出すのです。 「かわいそうだけど、もう川に流すしかないわ」 のんちゃんが言いました。 「う…ん。……でも、ミュウがかわいそう…」 まゆちゃんはしくしく泣いています。  2人は子猫を箱に入れ、その上に 《天国で幸せになってね》 と書いた手紙を乗せてふたをしました。
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