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のんちゃんとまゆちゃんは仲良しの姉妹です。のんちゃんがお姉さんで3年生、まゆちゃんが1年生です。
家族はサラリーマンのお父さんと専業主婦のお母さんとの4人家族です。
のんちゃんの家族の住んでいる所は、町役場に近いこともあり商店街も歩いて行けるし、バス便もよく生活しやすい所です。
家の前にはたんぼが広がっています。のんちゃんとまゆちゃんはたんぼ道を歩くのが好きで、よく2人でおしゃべりしながら、歌を歌いながら歩きます。
たんぼは色々な表情を見せます。田植えしたばかりの頃は小さな苗だったものが、グングン大きく成長してやがて黄金色に輝く稲穂をつけるのです。
そんな植物の成長を見ながら歩くのは、2人にはとても楽しいひとときなのでした。
風が吹くと、緑の海にさざ波が起こります。2人は思わず話すのを止めて、見入ってしまいます。
「お姉ちゃん、きれいだね。」
「うん、本当にきれい…。稲も気持ちいいって思ってるね、きっと。」
「うん。気持ちいいって言ってる声が聞こえる。」
まゆちゃんが目を閉じてそう言うと、のんちゃんの顔を見てにっこり笑いました。
のんちゃんも同じように目を閉じて耳をすませていると、
かすかに《小さな泣き声》が聞こえました。
「…?…この声は…こねこ…かな?」
「こねこ?」
まゆちゃんも目を閉じて耳をすませます。そして、
「お姉ちゃん、近くに子猫がいるよ。探そう…。」
2人は子猫を探しました。今歩いている所からは何も見えません。でも、道を左に曲がるとすぐにダンボールが置いてあるのが見えました。
のんちゃんとまゆちゃんはかけよりダンボールの中をのぞきこみました。
「かわいい💕」
まゆちゃんは大興奮です。
ダンボールの中にいたのは、三毛猫の赤ちゃんが一匹だけでした。
子猫はふらふらする足取りで、ダンボールの中を少し歩いては泣き、また少し歩いては泣いていました。
必死で泣き続けていたのでしょう。
声もかすれていて、しぼり出すような声で泣いています。
「ふるえてる。寒いのかな?」
まゆちゃんはダンボールから子猫をだきあげると、自分の着ているTシャツでくるむようにして子猫を抱っこしました。
「可愛いね。」
のんちゃんも頭をなでました。
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