可愛いミュウ

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「こんにちは」  そう言ってガラス戸の玄関を開けて入って来たのは、近所に住んでいる勇おじさんです。勇おじさんは、お父さんのお兄さんです。 (注)実家は家族が家にいる時は、玄関の鍵をしません。  ですから近所の人たちは、こんにちはと同時に玄関のガラス戸を開けます。  おじさんは上がり込むと、大きな声で陽気におしゃべりを始めました。天真らんまんな子供のように明るいおじさんが来ると、家の中がパッと明るくなり笑い声に包まれます。 「おやっ…? 猫を飼ってるのか?俺は犬や猫は大嫌いなんだけど…しっかし…綺麗な顔をした猫だな~。今まで見た中で一番綺麗な顔をしてる」  おじさんはそう言うと、無理にミュウを捕まえようとしました。  ミュウはいっしゅんビックリして逃げようとしましたが、あきらめておじさんに抱っこされています。  少しお酒の入ったおじさんは、ミュウの体を強引なくらいになで回します。 「俺は猫は大嫌いなんだけど、おまえんちの猫は可愛いな~」   そう言うと、おじさんはまたしてもグリグリなで回します。 「おじちゃん…ミュウが可哀想だから、そんなにグリグリやらないで!」 まゆちゃんが言いました。 「あ~そうか。悪い悪い」  おじさんはミュウをまゆちゃんに返しました。  猫が嫌いなおじさんさえも抱っこしたくなるくらい、ミュウは美しい猫でした。
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