熊胆の効能

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「シェリフ、聴いてる?」 「ああ、悪い。そろそろ帰るか?由里子が心配してるからな」 「そうだね。今度、ゆっくり街を案内するよ」  多香子は俺のアイパッチを付け直し、ハンカチをショルダーバッグに入れて蓋を閉め、ベンチから立ち上がって先に歩き出し、座ったままの俺を振り返ってリードを引っ張る。 『もしかすると、体は動かせるかもしれんぞ。わしが力を貸せば、銃の名手になれるだろうよ』  俺は多香子の体から戻った爺さんの声を聴き、多香子の霊的な能力と熊の胆の効能により、プレスとは違う形で霊魂が憑依し、多香子の身体能力をアップさせると期待した。 『爺さん。もしもの時は……多香子に憑依して敵と戦ってくれ。人間と闇の獣の戦争になれば、俺だけでは守りきれないからな』
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