良平の思惑

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良平の思惑

 持ち帰った化石の入った木箱から闇の獣と思われるモグラのアンモナイトが出没し、書斎の出入り口に立ち入り禁止のテープの貼られ、ワイシャツを着た良平がネクタイを締めながら室内を覗いている。 「まったく、アレは何だったんだ?」とため息を漏らし、廊下を歩いて寝室へ向かい、ドアの前で周囲を伺って室内へ入ると、壁側のライティングデスクの引き出しを開けて布で包んだ化石を取り出し、乾いた普通の形状である事を確認してから鞄に仕舞う。 「この化石を分析すれば、新しいエネルギー源を発見できるかもしれない」  昨日、書斎の証拠物は全て政府の者に運び出されたが、良平は事件直後に二枚貝の化石の一部を拾い、隠し持っていたのである。
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