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しかし幸いにも枝がクッションになって大したダメージはなく、あのカギ爪も俺のダッシュ力で目測を誤ったのか傷は負ってはいない。
俺は爺さんが撃った銃声を耳にしながら、今度は地を這うように奴の下半身を狙って走り出した。
爺さんの銃弾は奴の胸に当たったようだが、黒い剛毛で致命傷にはなってないようだ。
その証拠に、俺が奴の足に食らい付いた時には体制を立て直し、肉に牙がめり込む前に俺は蹴り飛ばされていたのだ。
銃声が何発か響き、俺はその隙に再度立ち上がって倒木に駆け上がった。
奴の顔面にジャンプして、鼻面に噛みついてやったんだ。
しかし、奴は何度か振り回して俺を水辺の平たい岩の上に落としやがった。
それをまな板代わりに俺を料理する気なんだ。
虚しく最後の銃声が響き、爺さんの銃弾は谷の水の流れに消えて行く。
俺はあのカギ爪が腹を突き刺すのを覚悟した。
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