良平の思惑

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「あなた、どうしても休めないの?日曜日だし、こんな時になんで出勤するのよ。危険だから、家にいた方がいいって言ってたのは誰かしら?」  玄関で靴を履く良平に由里子が意見して止めようとしたが、良平は口を尖らせて出社すると言い張った。 「緊急の案件があって、所長から直々に要請があったんだ。家の方は警備も厳重だし、政府が話したいのは僕ではなくてペットの方だからね」 「別に飼い犬が主人公だからって、怒ることないでしょ?シェリフは特殊な能力犬なのよ。政府が人間ではなく、お喋りなわんちゃんと話したいのは当然だと思うわ」  由里子は腕を組んで良平を説得したが、研究の事になると夫は夢中になり、冷静な判断ができなくなる。 「別に怒ってはないが、なぜ多香子はOKなんだ?極秘情報が絡んでいるってのに、僕がダメで娘はいいなんて変だろ?」 「わかりました。早く帰ってきてくださいね」
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