4人が本棚に入れています
本棚に追加
コンコンと真新しい靴の音が響く渡り廊下。
そこには二つの影が歩いていた。
「ねぇハル、片岡くんと進展あった?」
瞳をキラキラさせて香奈は言った。
あーぁ、言わなくても分かってるくせに聞くとこが香奈らしいけど。
「進展する訳ないじゃんか、まともに話したこともないのに……」
なんて自分で言ってて辛いなぁと思っちゃってる。私、立花ハル。
私と親友の香奈は今年中学に入学したばかり。
約二週間間が経って、クラスも出来上がりつつあった。
片岡くんとは、ハル達と同じ一年三組の生徒で、本名は片岡陽斗。
太陽みたいに明るい笑顔で笑った片岡くんを見て、ハルは胸が高鳴った。
この感情が恋だとわかるまで、時間はあまりかからなかった。
あの笑顔で笑いかけられたら……なんてねっ。
「ちょっ!ハル、顔にやけてるよ!?」
マジっ!?っと言ってハルは鏡を見た。
もう、にやけてはいないが顔が真っ赤だ。
「なぁーにしてんだ?こんなとこで」
あっ……この声は。
最初のコメントを投稿しよう!