抱き締めさせろ!

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「なあー、なんで遅かったん?」 隣歩く千田に問いかけた。千田は長身で目は切れ長の一重、髪は染めていないし校則違反もしていない。一見してよくできたイケメン優等生のようだけどその実、マイペースで勉強嫌いなただのダメ雄だ。 「さあ。なんか先生に捕まってた。成績すごいぞ的な」 この場合のすごいはきっと、いや絶対マイナス方向にすごいぞというやつだろうが、千田は他人事のように飄々としている。 「お前…」 「ん?せんちゃん顔怖いよん」 「きめえ」 俺の額をつついてきやがった。苛ついたから蹴っておいた。 いつもこれだ。注意をしようとすると話をそらされる。 現実を見ろ。と俺は言いたい。
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