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「ほんとに……いたんだ……」
私が目を見開いてライオンの闇色の瞳を凝視すると、ライオンの中から嘲笑いが聞こえた。
「我が聖黒学園では一切の罪も許されない。もし罪が起きた場合、生徒会がその場で裁く」
「裁く……?」
ライオンの言葉をちゃんと理解する前に思わず聞き返した。さっきこのライオンは私を裁くと言ったからだ。
ふと、頭に何か違和感を感じる。何かを押し付けられたのだ。
ゆっくり押し付けてきた方向を見ると、そこには狼がいた。
「てめーを殺すってことだ」
ライオンに比べて少し荒々しい声。
押しつけられたものは銃口だった。私は恐怖で声が出ない。
「学園に罪はいらない。罪を産み落とす奴もいらない。だから罪を犯した奴に死という罰を与える」
ライオンはガタガタ震える私を見おろしながら声の抑揚をつけずに淡々と語る。
私、殺されるのか? 嫉妬という罪を犯したから?
「てめーも罪を償わなければいけねえ。――死ね」
「いやっ…………!」
狼がチャキリと銃を持ち直した。
もう殺られると思って目を瞑った。
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