第4話 赤いドレス

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「今はもう止めてください。望月さんの治療を急がないと」 「そうね。人を呼んでくるわ。ただ、貴女は必ず戦いの中に身を置くことになるわ。失われた恋人に会うためのには、たぶん必要なことですもの」 夏奈子の身体がピクッと震える。 「どうしてそのことを!?」 「袖掴神に浚われた夜、総一郎の部屋は鍵が掛かり密室だったんでしょ?つまり、開かずの間でもあった。貴女の恋人は本当に掴神に浚われたのかしら?もしかしたら……まだこの世界に居るんじゃない」 「どういうことです!?」 夏奈子は身を乗り出すあまり、あわや裾から足が外れそうになる。 太股まで沈んでいる俺は、ヒヤヒヤしながらそれを見つめる。 「答えは自分で探しなさい」 歩き出した真紀にカズマも続き、夏奈子の必死の呼び止めにも振り向くことなく、二人は階下へ消える。 夏奈子は蒼白となり、自分の体重を支えるためだろうか、俺の肩に手を添えた。 (あいつら……混乱させるだけさせやがって) 俺は夏奈子の手に己の手を重ねる。 「……いずれにしろ……俺は……そばにいるから……独りで悩むな……」 夏奈子は俺の頭髪に顔を埋め、そして、小さくコクリと頷いた。 第4話 終
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