お泊り

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 ……オレ鬼と話さなくちゃいけないの? なんか祟られたりとかするんじゃないの? ていうか既に幽霊がきて小一時間話してるんだけど寿命とか縮まってるよね絶対。  とか思いながら、しぶしぶ携帯を受け取る。 「お電話代わりましたケンですが」 「あ、ケンさんですか、鬼と申します大変お世話になっております」 「あ、こちらこそお世話さまです」  もちろん世話になってはいないが今後可能性は大いにありそうだ。 「早速なんですが、ちょっとこちらのほうで、えー、その、トラブルがありましてですね、大変申し訳ないのですが、その娘を少しの間相手してやっていただけませんか。 いやいやいや特別なことはなさらなくて結構です。経費等はこちらのほうで何とか手配致しますので。」 「いや相手と言われましてもね、この子今さっき私を殺そうとしてましたよあなたが指図したんでしょ。 だいたい女日照りの独身中年男にこんな若いお嬢さんあてがわれても困りますよ。 目の毒です。血圧上がります」 「あー、大丈夫です大丈夫です、殺すってのはちょっとした手違いでケンさんは全然大丈夫です。 現にほら死んでないでしょ?」  いや、自称鬼と話してる時点で怪しい。手違いとか言ってもう私は死んでるかも知らん。 「あの世の面子にかけてケンさんの命は保証します。 あと十八禁的な事態になっても当人同士の合意があれば問題ないですから何とかひとつ。 お礼はなんなりと致しますから。お願いしますよ」  鬼必死だな。まあ、いいかどうせ今週末は予定ないし。 若い女性と会話したのなんて何年ぶりだか思い出せないくらいだし、たまにはいいか。 椅子に座って足をぶらぶらさせながら部屋の中を物珍しそうに見回しているメリーさんを眺めているうちに、そんな気分になってきた。 「しょうがないですね、わかりました。でも私月曜から仕事なんで、ちょっとそこらへん間に合うように調整お願いしますよ」  お仕事は大事だからね。ていうか元カノが出て行ってから私の生活ずーっとお仕事しかないからね。 「ええそれは勿論。こちらとしても最大限努力いたしますので。もう本当に申し訳ないです」 「了解しました。一応彼女に連絡はできるだけ入れていただけますか」 「はいそれはもちろん。では、くれぐれもよろしくお願いいたします。失礼いたします」
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