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「もしもし、あたしメリーさん。
今ゴミ捨て場にいるの」
緊急連絡かと思って夜中の電話にでたらこれだよ。
うんざりして枕元の時計を見ると午前二時を過ぎたところだ。
七月に入り、熱帯夜も本格的になっていて、さっきようやく寝入ったばかりだというのに。
だいたい私はしがない中年男で、もちろんメリーという名の人形を捨てたりはしていない。
まあ、あまり人には言えないが、確かに人形はたくさん持っている。
だが、それらはもったいなくて捨てられないものばかりだ。厳選に厳選を重ねた娘たちばかりなのである。
「あー、メリーさん?」
「はい?」
「ごめん間違いじゃないかな、
オレ人形捨てた覚え無いんだけど」
「えーと、そちら080-××××-××××ですよね?」
「あ、そうだけど」
確かに、まさに今彼女と話している私の電話番号だ。
「あ、それじゃ大丈夫です。伺います」
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