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「メリーさん、オレそのひとつ手前の駅なんだけど」
「え! あ、ホントだ。
あのすみません、戻ります!」
なんだか徹夜の雰囲気になってきたぞ。
明日土曜日で休みだからいいけど。
あ、もう今日か。
水を飲み終えたころ、また電話が鳴る。
「はーい」
「あたしメリーさん。
今あなたの家の前にいるの」
「あー、どうぞどうぞ、鍵開けてあるから」
玄関が開く音が聞こえる。
「お邪魔しまーす」
遠慮がちな声とともに、気配がやってくる。
リビングのドアの磨りガラスに小柄な影が映る。
そしてまた電話。
律儀だな。
確か次は「あなたの後ろ」だっけ。
でも玄関から普通に入ってきたぞ。
「あたしメリーさん。
今あなたの、えーと」
「はいはいいらっしゃい」
と私はリビングのドアを開けた。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
全くもって幽霊らしい、それはそれは恐ろしい叫び声を上げて少女が飛び退く。
「服着てください!
ていうかパンツ!
パンツ履いてください!」
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