鬼さん

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 なるほど。最初の電話だな。 「そしたらくらっと目眩がして、思わず目閉じてしゃがみこんじゃったんです。 それで急に暑くなって目開けたら、海浜爆張駅のホームだったんです。 もうびっくりして、携帯みたら、画面にあなたの電話番号が表示されてて。あなたに間違いじゃないかって言われて、それ見て確認したんです。 あ、そう言えばお名前伺ってませんでしたね」 「キミがメリーさんならオレはケンだな」 「はい? 英語の教科書のネタですか?」  どうも通じなかったらしいが、まあいいや歳全然違うし。 「あー、それで、海浜爆張駅からどうやって?」 「え、普通に電車動いてましたよ? がらがらだけど何人か乗ってたし」  幽霊列車ってやつか。懐かしの人を探しに行く電車だ。って歌があったな。 「鬼さんからメールが来て電車に乗って二駅先で降りろって。GPSのリンクもちゃんと貼ってあって。 そんで、携帯いじってたら乗り過ごしたりしたんですけど、普通に来れました。駅から近くていいですねここ」 「うん。その代わり築四十年超えてるけどな」 「えー! そうなんですか。でもなんか建物しっかりしてて住みやすそうですよね。あ、またメールきた」 「鬼? 今度は何だって?」  彼女は携帯を見て目を見開き、オレの顔を見て、また携帯を見て、を三回ほど繰り返す。 「あの、すみません、あの」  彼女は立ち上がり、テーブルに携帯を置き、こちらにおずおずとやってくる。 「えーと、死んでください」
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