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「今までずっと我慢してた!
俺は副長を尊敬してるし、蒼妃の強さにも憧れてる!
二人の間に、他の誰が入る余地もないくらい強い何かがあることだって知ってる!
俺は二人の事が大事やから……ッ、だから蒼妃のことだって諦めたんや!
大事な二人が笑ててくれるんやったらそれが一番やと思ったから!
せやのに……せやのに、こんな仕打ちはあんまりちゃいますか! 副長!」
あまりに突然爆発したそれに、もしかしたら山崎自身も驚いたかもしれない。
制御がきかなくなった感情は今まで隠してきた想いすらをもつい、ぶちまけてしまっていた。
視界の端に、驚いて目を見開く蒼妃を捉えながら、山崎は土方を睨みつけた。
土方は彼の瞳の奥に、あるはずの無い――あってはいけないはずの涙を見た気がした。
「今回の事で、俺は自分がいかに無力か知りました。
強い、強いってみんなに言われて、副長にも頼りにされてるって思って、どっかで驕ってたんかもしれへんと思いました。
“強くなりたい” そう思いました。
でも、それは今に始まったことちゃうんです。
ほんまは俺だって隊士と一緒に蒼妃に稽古つけて欲しかった。
俺かって、強くなってもっと新撰組の力になりたいんや」
それなのにどうして――――。
どうして分かってくれないのか。
そう責められている気がして、蒼妃は山崎から目を逸らした。
さっきの自分の発言が、彼の箍(たが)をはずしてしまったのだ。
そう気付いたから。
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