第一章 ~正式な部員~

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朝、目が覚めたのは五時半だった。いつもよりも、一時間ほど早い起床だった。いつもなら今頃、夢の終わりを見ている時間帯だろう。と言っても、今回は夢は見なかったけどな。 俺はゆっくりとベッドを降りた。妹はまだ寝ているのか。キッチンから音はしていない。妹より早く起きるなんて滅多にないことだ。六時頃には起こしてやろう。 ふと横を見た。俺のギターがケースに入った状態で壁にかけられていた。そうだ。俺は軽音楽部に入部したんだった。そして今日はギターを持っていくんだったな。俺がずっと使っているお気に入りの赤いSGだ。ハムバッキング・ピックアップを二つ搭載したもので、とても弾きやすい。ネックが細いからだろう。そういえば、そろそろ弦が錆びてきているな。張り替えるか。 さて、そろそろ妹を起こさないとな。朝食が食えない。 俺は妹の部屋に入った。年頃の女の子の部屋だ。普段は入れてくれないんだが、俺がまぐれで早く起きたとき、朝起こすときだけ入れてくれる。俺と同じで、朝に弱いのだ。 「すー…」 「おい、朝だぞ。」 「ん…すー…」 「全く、飯が食えないんだが…」 妹は、俺の言葉に反応したかと思うとまた寝入ってしまった。相変わらずだなぁ。もう中学三年なのに。俺と三歳違いの雄架はお気に入りの熊のぬいぐるみを抱きしめて、純白のシーツの上で小さな寝息をたてている。こいつの寝顔を見ると、今日も平和だなと思う。 「…」 よく見てみると、昨日あった長咲と雄架ってよく似ているな。長咲もこんなふうに可愛い顔をしているねだろうか?ってか何を考えているんだ俺は。image=419404618.jpg
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