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「なんでだ?なんで長咲はお前の名前なん座調べるんだ?」
「気になったからじゃないの?名前いい忘れたし。」
「…お前、試したろ。」
「何の話だ。」
秋和の話はこうだ。俺が部室に入ったところ、入り口で長咲とぶつかってしまい、彼女が運ぼうとしていたプリントをばらまいてしまった。そして俺が集めるのを手伝って、長咲は恩を感じ、お礼に自己紹介と部活の紹介をしてしてもらう。説明しているうちに長咲はほんのわずかな恋心が目覚める。しかし、名前を聞き忘れたので調べて、それが正しいかどうかを昼食の時に確かめた。そのような行動を起こすかどうか、俺はわざと名乗らずに確かめたと言うのだ。
「つまり、長咲とお前はできてるって事よ。」
「…」
その話を聞いて、おれは呆れた。いまのやり取りの中の、どこに惚れる切っ掛けがあると言うのだろうか。これだから恋愛に疎い奴ってのは。
「とんだ妄想話だな。俺はギターを弾いて見せただけだ。」
「ならお前の演奏を見て惚れたとか。」
「恋愛話はやめろ。忌々しい。」
そして、午後の授業のチャイムがなった。これが終われば部活だ。えすじの助も楽しみにしているだろう。 あぁ、また言ってしまった。
「では、今日はここまで。来週までに課題やっておけよ。」
やっと授業が終わった。ノートを取っていただけだがな。無理をする必要はない。この後は部活だしな。
しばらくして、ともえ先生が教室に入ってきて、ホームルームが始まった。ホームルームは、伝えることを伝えたらすぐに終わるので、苦労することはなにもない。ふっとドアを見ると。長咲がいた。長咲も俺に気づいてくれたのか、手を降ってくれた。俺も同じ動きで返事を返す。
「あ、鎌滝くん、彼女かな?」
「え?いいえ、違いますよ。」
クラスメイトに笑われた。顔から火がでるくらい恥ずかしかった。
「じゃあ、もう終わります。号令。」
「起立、気をつけ、令。」
ありがとうございます。と心の中でいった。たとえ頭の中に入ってないとはいえ、先生方はストレスを感じながら授業をしているに違いない。感謝しなければ。学生としての、最低限の礼儀だ。
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