プロローグ ~出会い~

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クラス名簿によると、俺はBクラスらしい。名簿には出席番号も書いてあったので、頭の中にメモをして教室に向かった。 教室では盛り上がっている。部活動の仲間、仲のいい友達が同じクラスになったのだろう。その中に一人、見覚えのあるやつが誰かを探している。俺を見つけると、にやけてこちらに歩いてきた。 「よう健一。今年も同じクラスか。」 「秋和、厄介なことするなよ。」 「なんだよ、つれないな。今年も一緒なんだぞ。運命感じないか?」 「何言ってんだよ。気持ち悪い。」 秋和はふてくされていた。こいつは俺の幼馴染みだが、あまり好きではない。でも、どこか気に入ってるらしく、心の底からは憎めない。いままで散々なことをされてきたのにな。こいつは噂話にめっぽう弱い。噂が好きなのだろう。それらしい話には必ず食い付いてくる。そして、噂として全校に広めるのだ。俺にはじめて彼女ができたときは、こいつのおかげで大変なことになった。そして別れてしまった。俺は失った彼女をひきかえに少しだけ成長して、人を憎むことを知ったのだ。 まぁでも、なんだかんだ言って仲は良いな。こいつには、色々と助けてもらったこともあるし。「はい、席についてね。ホームルーム始めるわよ」 教室の入り口を見ると、若々しい女性が我がBクラスに入ってきた。手に抱えているのはクラス名簿だろう。 「さて、今日からあなたたちは三年生ね。私は木宮ともえっていうの。あなたたちの担任よ。よろしくね。」 ともえと名乗った女性が、我がクラスの新しい担任のようだ。木宮ともえ。小柄だが、少し膨らんでいるようだ。ほっぺをつついてみたくなる。多分、かなり柔らかいと思う。方よりも少し長いストレートヘアーにめがねという、いかにも文化系って感じの印象だ。予想通り、B、Dクラスの国語科を担当しているらしい。俺たちのクラスか。 「おい、健一。今回の担任、なかなかの美人だな。」 「お前、軟派するなよ。」 「お前こそ。中学のときに好きだった奴に似てるじゃん。思い出したか?ん?」 「はぁ、相変わらずだなぁ。」 今年もこんな奴と過ごさないといけないのか。忌々しい。秋和は、俺の見る限り結構イケメンなんだが、女癖が悪いと言うか、いろんな女子に目をつけていて、大変なのだ。俺の好きだった人も知ってるしな。しかし、今度はは先生か。歳が違いすぎるだろう。
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