プロローグ ~出会い~

7/11

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
ともえ先生の清らかな澄んだ美声での文章の朗読をBGMにしながら、部活のことを考えた。入部届はもう入手したし記入もした。まず放課後になったら、職員室にいかなくてはならない。はっきり言って、俺は職員室はあまり好きではない。昔、中学のときはよくお世話になっていた。今となっては笑い話に他ならない。あの音もない空間で無理矢理謝罪される生徒といたときは気まずさに吐き気を覚えたからな。あれからトラウマになっている。 ともあれ、それは昔のことだ。今はそんなけとを思い出すよりも、顧問の名前を調べなければ。 脳内会議は、昔のことを思い出してしまい、実質的には五分くらいで議決へと進んでしまった。そのため、かなりの時間が余ってしまった。授業もやる気が出てこないしな。適当にノートでも取っているか。 授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。俺はともえ先生のきれいな板書を恐ろしいくらい丁寧にノートに写した。と言っても、内容は全く頭に入っていないけどな。しかし、さすがに国語教師なだけあって、とても綺麗に字を書く。そんなことに感心していると、そのままホームルームが始まった。連絡事項はないらしく、十五秒くらいで終わってしまった。中学の時よりも全然早いホームルームは、二年経った今でも慣れない。小学校の頃からホームルームは長かったからな。まぁ、今日も一日、普通に過ごせた。このあとは職員室に行かなくては。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加