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軽音楽の部室は、今年造られたばかりの新館の二階、第二音楽室だのようだ。この校舎は、今年の新入生が使用している。しかし、今年のい新入生は例年と比べて少なく、教室が余っているらしい。いったいどれほど余っているのか気になるところだが、今はそれどころではない。まぁ、おいおい分かってくるだろう。
新館に入ると、いかにも新しい建物という感じの空気と匂いが俺を包み込んだ。二階から、ギターやらドラムやらベースやらの音が聞こえてきた。俺のようにこのような音に慣れていないやつだと騒音ともとれる。このリズムはエイとビートだ。
俺はふと思った。軽音楽部にはどのような生徒がいるのだろうか。髪をツンツンにしたドラゴンフルーツみたいな生徒かもしれない。もし皆そうだったら、俺はこき使われるか、その生徒たちの仲間になってしまうのか。それは少し嫌だな。
何はともあれ、とりあえず部室に行かないと何もわからない。俺はこわばりながら部室に向かう階段を上っていった。
「おい、お前まだそこ覚えてないのか?」「うん。ごめん。」
「お前、やる気あんの?歌も下手くそだし、フレーズもなかなか覚えなられい。お前、音楽やる意味ねぇよ。」
俺は部室の前で部員のと思われる生徒の会話を聞いていた。何やら揉めているようだ。
「そんなことないよ。」
「出しゃばるな。お前はいくらやっても上達しねぇよ。」
「そんなっ」
俺は少し苛立ちを感じた。何を言っているんだこいつは。上達しないだと?練習して上達しない奴なんていない。
「やって上達しない奴なんて音楽やる資格はねぇ。帰って宿題でもしてろ。」
「そんなの嫌!」
「帰れ!ここにお前の居場所はねぇんだよ。」
「ちょっと待てよ。」
「なんだお前?」
カチンときた。こいつの言様は聞き捨てならない。音楽は自由だ。誰にも否定されない。俺はそういうことは大嫌いだ。
「資格がないなんて言うな。そんなこと言う奴の方が、よっぽど音楽をやる資格はない。」
「ていうか、お前誰だ?何でここにいる。」
「今年から、この部に入部させてもらう。」
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