第3章

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「なに?」 上目づかいでもじもじしながら、 「質問しても、いいですか」 「うん、いいよ」 優しい口調で言うと、女子生徒はほっとしたように笑顔を見せた。 「えっと……」 「うん」 「先生は、彼女とか居るんですか?」 「……」 ――今、なんて? 俺が無言で見つめ返していると、生徒は何を勘違いしたのか、見る見るうちに顔を赤くしていった。 すると、女子生徒がもう一人、ずいっと足を進めて来た。 「先生!」 「……はい」 「先生の好みのタイプ、教えてください!」 「……」 「私も聞きたいっ」 「あの、先生、一緒に写メ撮らせてください」 「ずるい、わたしもっ」 一気に賑やかになった放送部室で、俺は呆然と立ち尽くしていた。 ……何て言うか……。 ちょっと今、本気でがっかりした。 その時、一人、ブースの中を見ていた女子生徒がくるりと振り向いた。 「ばっかじゃないの」 その声に、俺も含めた全員が、身体を強張らせる。 .
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