第3章

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…もしかして…。 俺も一緒に怒られたのかな、今。 やたらきりっとしたその後姿は、真っ直ぐにブースの中の奈良崎を見つめていた。 スピーカーからは、淀みない声が聞こえている。 『……近頃では、電車やバスの中で被害に遭うケースも多数報告されておりますので、女性徒は出来るだけ一人での登下校は避けるようにしましょう。 続いて、明日のアルミ缶つぶしについてです…』 「先生」 女性徒がくる、とこちらを振り向いた。 「はい、何でしょう」 なぜかつい、敬語で応える。 「すみませんでした。生意気なこと言って」 彼女はバツが悪そうな顔で肩を竦めた。 「私も確かに先生はカッコいいと思うけど…。 でも、なんかちょっと、…今、それは違うんじゃないかって思って。 一応あの人、がんばってるし」 そう言って、ブースの中に視線をちらりと投げる。 …へえ。 見た目は、髪の色といい、パーマといい、校則に違反する個所は多々あるようだが、…言っている事は、かなり筋が通っている。 こんな高校生を久しぶりに見て、俺は何となく安心した。 .
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