第3章

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席に戻ると、俺は早速、紐で閉じられたプリントの束を捲った。 坂口の名前を見つけ、目を通す。 …面白い。 俺は笑いを噛み殺しながら、一気に最後まで読み切った。 …これは、いける。 坂口は間違いなく、放送部員として、…『恋パラ』担当者として、大きな戦力になる。 手ごたえを感じた俺は、少し舞い上がり気味に、入部に必要な手続きについて頭の中で考えながら、何の気なしに次のページをめくった。 坂口、の次は、椎名、という生徒のプリントだった。 とてもきれいな字が、びっしりと枠の中を埋めている。 その几帳面さに魅かれ、俺は何となくその文章を読み進めて行った。 内容は、樋口一葉が半井桃水に宛てたラブレターについてのものだった。 .
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