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…そういえば。思い出した。
俺は、ベンチの背もたれから身体を起こし、ぐっと顔を寄せ、真嶋を見据えた。
「…お前、言っただろ」
「…センパイ…顔、近いです」
「頬を染めるな」
真嶋のおでこをペチッと叩く。
「痛い」
「もっと痛くする?」
「……」
「嬉しそうな顔、するな」
もう一度ペチペチッと叩いてから、さらに顔を寄せる。
「今日子先生に余計なこと言ったの、お前だろ」
「え、何のことですか」
「……」
「ひどいな、先輩。何かあるとすぐ俺のこと疑って」
しゅんとした顔をされ、何も言えなくなっていると、
「サツキちゃんのことくらいしか言ってませんよ」
「やっぱりお前か」
白衣の襟元を掴んで引っ張ると、真嶋はにへ、と笑顔を浮かべた。
「だって、今日子先生が退屈で死にそうだから、面白い話しろって言うんですもん。
大きいおっぱいの人にそんな事言われたら、抗えないでしょ、男なら」
「……」
俺は、愕然とした。
こいつら…。
組むと、ものすごくやっかい。
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