第4章

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しばらく続けるうちに、症状は大分落ちついたようで、田辺の顔色が良くなって来た。 「どうだ、痛みは」 塩谷先生が顔を覗き込むと、田辺はしっかりと頷きながら、大丈夫です、と答えた。 横にしていた身体をゆっくりと仰向けにして、大きく息を吐く。 「良かった良かった」 塩谷先生はゆったりした口調で、捲り上げていたズボンの裾を下ろした。 「…いつもすみません、先生」 「いやいや、大したことはしとらんよ。そう謝るな」 塩谷先生はにっこり皺をよせて笑ってから、カーテンを半分開け、デスクの方へ歩いて行った。 田辺は膝を何度か曲げ伸ばしてから、俺の方を見上げた。 「えっと…」 「あ、社会科の春山」 「春山先生…。すみません、ありがとうございました」 言いながら、俺の顔をじっと見て、記憶を辿っている。 「昨日、柔道場で会ったかな」 「あ」 田辺はやっと思い出した、という顔をした。 「あの後、めちゃめちゃイケメンと、やたらワイルドな先生が来たって、皆で話してたんですよ」 人懐っこい笑顔に、俺も表情を緩めた。 「でも、気をつけた方がいいかもです」 「え?」 「あの後、二人がデキちゃってるらしいって、噂で持ちきりでしたから」 「……」 .
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