第4章

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俺が呆然と立ち尽くしていると、 「佐久間先輩って、分かります?」 「え。うん。3年のだろ」 「そうですそうです。佐久間先輩が言いだしたんですよ、確かな筋からの情報だって」 「……」 …佐久間め…。 俺がこの上なく苦い顔をすると、可笑しそうな笑い声が上がる。 「助けていただいたんで、お礼です」 田辺はカメのようなことを言って、おでこを掻いた。 …めちゃめちゃ、いい奴だ。 俺は田辺の顔をじっと見つめた。 こいつが抱えている物を、少しだけ楽にしてやることが出来たら。 俺は、近くにあった丸椅子を引き寄せ、腰かけた。 「田辺」 「はい?」 「ちょっと、話したいんだけど、いいかな」 「え。…いいですけど」 田辺は不安そうに顔を曇らせた。 始めて話す教師からこんな風に言われたら、誰だって穏やかな気持ちではいられないだろう。 「彼女はいませんけど、彼氏の募集はしてませんよ」 「……」 「…すみません、冗談です」 …とりあえず、佐久間への報復については後々、ゆっくり考えよう。 俺は軽く咳払いをして、改めて椅子に座り直した。 .
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