第1章

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ひとまず俺は、この場所にやって来た本来の目的を遂げる事にした。 小銭を取り出し、自動販売機に一枚ずつ投入する。 いつもの銘柄を選び、ボタンを押すと、ガゴン、とかなり大きな音を立て、缶コーヒーが落下した。 缶を取り出し、渡り廊下の真下から数歩離れてから、覚悟を決め、上を見上げる。 その瞬間、真っ白な太ももが目に入った。 ちょうど風が吹き上げ、スカートをふわりと持ち上げながら、落ちかけた桜の花びらを再び巻き込み、昇った。 風が去り、再びスローモーションのように花びらの雪が舞い落ちていく。 …今朝の星座占い、確かうお座、1位だった。 頭の片隅で考えながら、俺は教師らしい毅然とした声を心がけ、呼びかけた。 「ちょっと」 反応は無い。 ここからだと顔が見えないので、俺は2歩、後ずさりした。 「そこの女子。…おいってば」 さらに一歩、後退する。 やっと気付いたのか、ボンヤリちゃんは埋めた顔をピョコっと上げ、キョロキョロし始めた。 「…下。こっち」 彼女は、手すりの向こう側からこちらを覗きこんだ。 黒目がちな大きな目を見開き、口も半分開けてこちらをじっと見下ろしている。 …全く、呑気な顔して…。 しかも、…必要以上に、可愛い。 「そこに、立たない方がいいよ」 俺が言うと、その女性徒はぱちぱちと目を瞬き、こちらをじっと見返した。 .
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