最終章

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その時、校庭の方から悲鳴が上がった。 思わず視線を向けると、ゴオオ、という激しい風音とともに校舎の向こうで砂埃が舞い上がるのが見えた。 小さな竜巻のように、校庭に散った紙吹雪を巻き込み、一気に昇っていく。 呆気にとられ固まっていると、唐突に風が治まり、一瞬、すべての空気が静止した。 そして、――巻き上げられ、空に取り残された白い欠片たちが、スローモーションのようにゆっくりと舞い降りていく。 「わ、……きれい……」 椎名の呟きを背に、俺もその美しさにしばし見とれていた。 「ね、……先生。 あれって、まるで……」 「……うん。そうだね」 ひらひらと舞い落ちる、真っ白な花弁。 それはまるで、――あの日と同じ。 入学式、椎名と二人で見上げた、桜の花びらたちのように見えた。
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