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俺は今非常に悩んでいる。
日曜日の昼過ぎ。
クリスマスムードで賑わう商店街のとある店。
その店のショーウィンドーを俺はじっと見つめていた。
しかし、眺めているのはショーウィンドーじゃない。
「…………あぁ」
俺が釘付けになっているのはショーウィンドーの中にあるサンタクロースの赤い服を着た大きな熊のぬいぐるみだ。
「か……可愛い……」
そう、俺は昔から動物のぬいぐるみが大好きだ。
ぬいぐるみであればその種類は問わない。
犬だろうと熊だろうと蛇だろうと土竜だろうと、ぬいぐるみであればそれは愛でる対象だと自信を持って言える。
ちなみに俺の部屋には三匹のぬいぐるみがいる。
名前は犬のリリ(♀)、兎のラビ(♂)、亀の伊集院(♂)、皆俺の大切な親友だ。
暇さえあれば俺はこの三匹との会話を楽しんでいる。
別に怪しいことはしてない。いや、端から見れば相当怪しいかもしれないが……。
とにかく、俺はぬいぐるみが好きだ。大好きだ。
女々しいやつだとか痛い趣味だとか馬鹿にするやつもいるだろうから、俺は極力このことを隠している。
この事実は恋人である先輩も知らない筈。
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