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「…………は~」
思わずため息が出る。
――欲しい。
「でもうちにはリリ達がいるしなぁ……」
ぬいぐるみくらいいくらでも買えばいいだろ、と思うかもしれないが、意外と手入れに手間がかかる。
ブラッシング、三日に一回の洗浄、ドライヤー。触り心地を維持するためにこれが不可欠。
ま、俺が神経質なだけかもしれないんだけどな。
二十分くらいこうやってあのぬいぐるみを眺めているだろうが、全く飽きない。
むしろまだまだ眺めていられる自信がある。
まるでトランペットを眺める少年のように、榊大助の瞳は輝いてると思う。
「あんた……もうちょっと人目を気にした方がいいと思うんだけど……」
声がした方へ視線を送る。
「夏草……」
そこにいたのは俺のクラスメイトで友達の夏草叶だった。
「いつからそこに?」
「あんたがそこのぬいぐるみ見つけて独り言呟きながら釘付けになったところ辺りから……かな」
「最初からじゃねーか!」
思わず大声を出してしまい、通行人の注目を集めてしまった。
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