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「お前なんかに…………分かるか………っ!」
頬に付いた返り血が筋を作った。
「分かられて……………」
手から銃が落ちた。
殺意が急速に消えていくのと同時に怖くなった俺は手が震えて銃を持てなかった。
―――………………っ!!!
ある日の罵声が過ぎった。
『優さん…………?』
「………ない……」
『えっ?』
「俺は………悪くないよね……」
『どうなさいました?』
「あいつのせい…………なんだ……………誰か…………」
目の前が淵の無い闇に覆われた。
*****
優くん……一人で大丈夫なのか………
まぁシンもいるから
いざって時は大丈夫だろうけど。
「…………くそっ」
当分左は使えそうに無いな……
とりあえず止血はやったけど。
シンの術式は治癒力を格段にあげるだけ。
だからたまに傷痕が残る。
まぁ俺の事は良いとして、
てかこのパーティー問題ありすぎだろ………
俺はただの巻き込まれた平凡な野郎だから問題なんて無いけど……
朝木は西野の事とイジメの事だろ、優くんはアレだ、他言禁止のアレ。
「この旅もどうなるんだか……………おっ………」
なぁんか周りにいっぱいいるな。
狼さんにとって俺の血って
そんな匂いしたのかね。
「さてさてさて、どうしようか。犬っころがウジャウジャと集まらなくたって俺のこと倒せんじゃない?」
誰も見てないし……
いいっかな、使っても。
俺が立ち上がると同時に狼達は茂みから飛び出してきた。
「今から5秒で倒してやる」
そして影を広げた。
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