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――――― 「誰か…………」 そのあとに微かに口が動いた。 虚ろな目で助けて、もしくは信じて、と言っていた。 『………貴方は今だに……彼をこの世界に喚んだのは間違いだったのでしょうか………』 顔を歪めながら僕の腕にしがみつく彼を見ながら思った。 『今は寝ていてください』 そう言って頬に付いた血を拭った。 僕には宥める事しか出来ない。 導く事と傍観する事しか出来ない。 それは僕の存在意義であり定義であり代償だ。 故に違う世界の貴方達に託すしか無いのだ。  ・・ 『僕らが終わりにできれば一番良いのですが…………』 そして夢の囲いを外した。 .
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