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『そう、それでですね、怪我云々の前に言っておきたいのですが陽世に比べて影世は重力がずっと小さいんですよ』
「えっ」
『全力でジャンプするととんでもないことになりますし、自動的に体も相当強化されています。だから落ちて叩き付けられてもあまり怪我が無いのだと思われます』
「早く言ってよ、そういうのはさ。てかそしたらさ、この間の村のアレはフェアだったワケ?」
『そうですね。いつか気がつくだろうと思ってましたので』
「じゃあだからなのかな」
「臣野くん何が?」
「おいらがこいつをすぐに使いこなせたの」
そう言って靴を指差す。
鱗の装飾の見た感じ
いかついブーツ。
「これが何なの?」
「こいつね、ひりゅーの鱗使って出来てんだけど空気を蹴れるの」
「へっ?」
『はたして重力の違いだけで使いこなせるかどうかは別としてきっとそれはセンスだと思いますが………飛龍の脚の鱗は空気を捕らえる特性がありまして、それを利用して作られたのがこのブーツです。つまりは空を走れる訳ですね』
「そーそー。それなの。だからこんな感じに……」
臣野くんは立ち上がると深く膝を曲げてからジャンプした。
反動なのか風圧が俺らを襲う。
「見て見てーっ!」
「わぁ………」
見上げると上空に臣野くんがいた。
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