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ニカッと笑うと龍尾さんは向こうに歩いて行ってしまった。
「とーりょーっどの部屋使えば良ーの?」
「お前の部屋とその向かいの部屋を使ってもらえ」
「りょーかい! 三人共こっち」
臣野くんは船尾まで続いてる真ん中の通路に俺らを呼んだ。
真ん中辺りまでくると足元にある扉を開いて中に滑り込んだ。
「こっちこっち」
少し不安感を覚えつつも
あとに付いていく。
中は真っ暗でどっちに進むのか見当もつかない。
エンジン音なのか何なのか
重く低い音が足の裏から伝わる。
「ここね、エンジン室の真上なの。少し五月蝿いけど我慢してね」
「別に良いけどさ、暗くね?」
「あっ……ちょっと待ってて」
パッと一瞬明るくなった。
眩しさに目を閉じる。
「何これ………ってケータイ?!」
「うん、そうだよ。圏外で使えなあけど今はライト代わりに使ってるの」
「俺らの時は一切無かったのに……」
『多分それは正規と非正規の違いですね』
「どういう事だ?」
『落ちるべき場所ではないところに落ちたからですよ。ちゃんとした所に落ちたならその身一つでこちらに来ますが、それ以外はたまに余計な物まで引っ付いてきます』
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