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「ねえ、優ちゃんは?」
「っ…………」
「それは………」
「は? 嘘でしょ?!」
二人は黙り込んだ。
それがとある事実をひしひしと伝える。
「ま、まず整理しましょう。臣野さんはどこから来たんですか? まさか自由にされてたわけじゃ無いでしょ?」
「………おいらは……黒騎士の器にされてた」
「「?!」」
「それに奴は……優ちゃんの影体だった」
「ちょっと待って。それさっき聞いてない!」
「だって言ってないもん」
「じゃあなんだ? 優くんは……乗っ取られたのか」
「………器としては……一番合うからね」
「じゃあおみくんは逃げてきたの?」
「……………ゴメン」
「あなたが謝る事ではないでしょ。………って事は優さんは敵へ降った可能性が高いと」
俺の発言に空気が一段と重くなる。
「とは言えここで焦っても意味は無いでしょうね。きっとそれすら王様は見越していたんでしょうから。二人は分からなくても朝木は分かるでしょ?」
「そう……だね」
「じゃ、状況確認しましたし、ここで一旦休んでから進みましょ。まだ先は長いんで」
「下からやってくる可能性は?」
「それは無いかと。どうせ王様がゲート開いて上まで連れていくでしょうし。それにいつもやけに調子乗ってるようなやつなんで」
それにもう日も沈む。
そう思って俺らは野営の準備に入った。
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