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「そう。その時に何度も性質の違う二つの世界を行ったり来たりしてるうちに自然の流れでは修正しきれないぐらいのズレが出来ちゃったんだ」
「そのズレは本来影世が処理するんですよ、一切未来への選択肢が無い事で。しかも処理仕切れなかったズレは陽世の人間の人生をも歪めてしまったし、繰り返した分だけこっちには人が堕ちてきた」
「だからこれは全て俺らのせい」
部屋の最奥に着いた。
エレベーターの少し前には大量の血がある。
「一つ質問がある。ならどうやってそのループを抜けたんだよ?」
「………9月始めのある日、俺がにしの手を取ろうとしたらにしの時間だけが動き出した。そこから今に来てる。その時ににしは消えて三番目の失踪者になった」
「ちょっとまって。それおかしくない?」
「おかしくないよ。俺らはあの日に起こったことをまるでコピペしたかのように無限ループをしながらも周りの時間だけは確かに進んでいたんですから。その前の記憶は全部吹っ飛んで俺らはさも全て新しい出来事だと思ってそれをあの日まで毎日繰り返した」
「それならなんで今分かるの?」
「多分俺らが経験した全てに繋がった時間軸だからか、もしくは影世自体がそうだからだと思います」
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