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玉座に近づく度に暗さは増しているようだった。 「………これは幻覚か……」 謎の闇の正体が分かると ぐにゃりと闇が揺れた。 かと言って晴れるわけではなかった。 「よく分かったな」 玉座からゆらりと立ち上がった影がそう言った。 「久々だね。元黒騎士のお二人さん。はじめまして、あのコの手駒の影使いさん」 「………アンタとは二度と会いたくなかった」 「酷いな。だがおかげで再会出来たろう?」 「それは否定しない。だけどそれはアンタのおかげじゃない」 「相変わらず素直じゃないな、君は」 いらついた俺は奴の周囲に円盤を展開した。 「手が早いなぁ。しかし、当たるか?」 「ッ!!」 光の鎗は奴を貫いた。 しかし奴はそれを何とも無いように笑い、一歩前へ出る。 「…………嘘でしょ」 「なら、これはどうだ」 「ほう」 闇に紛れた舞崎の影が縫い付ける様に奴へ突き刺さる。 「悪くはないだろう」 「?!」 影でしか確認出来ない奴の顔に白いものが二つと三日月が浮かぶ。 それが眼と口だと気がついた瞬間悪寒が走る。 「だがしかし、先ほどと同様の結果だよ」 奴の言う通り、落ちる水でも避けるかの様にすり抜ける。 「そこに居るのが分かっているのに当たらないのは理解しがたいだろう」 「……ああ。感知は出来てる。けど当たってない。どういうこった? これも幻覚なのか?」 .
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