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再会
ー期末テスト最終日ー
「終わった~!やっと終わったよ~テスト!」
「終わったね~!」
「よし!カラオケ行くよみんな!歌って歌って歌いまくろ~!!」
「いいね~百合はテスト終わりが一番元気だね~」
「当たり前じゃん~楓月紗も行くよね?」
クラスメイトの佐藤円(さとうまどか)と吉谷朋美(よしやともみ)と話していた百合が楓月紗に話をふった。
「うん!行く~」
本当は行きたくなかった。自分が行かない日に公園にあの男性が来たらと思うと…それでも、ここ一ヶ月いろいろな理由をつけて誘いを断ってきたため、今日は行かないわけにはいかなかった。
そして、4人は、カラオケに行った。楓月紗は楽しいとは感じる。友達といるのは楽しい。でも、何かがぽっかり抜けている。何が足りないのか分からないけど、何かが足りない。
「歌った~」
「本当百合ほとんど一人で歌ってたよね~」
「勉強から解放されるとついね~」
「うちら三年だよ。解放されるとか言えないよ~」
「そうだよね…。ハァ~受験とか考えたくない~」
「だよね~そいえば、楓月紗、志望大学決まった?」
「まだなんだよね~みんな夢があって本当すごいよね~!」
「楓月紗は学年でもトップクラスだし、どこでも行けるよ!」
「ありがとう~でもそんなことないから~」
いつものような会話。楓月紗は夢がない。だから、友達に話すような将来像がない。恋愛の話と、未来の話をするのが最も苦手だった。
ふと…交差点の向かえに目を向けた。
「あっ!」
楓月紗が叫んだ。
みんなはびっくりして、
「どうしたの?」
「あっ、え~と、おつかい頼まれてたの忘れてた。ごめん~買い物してから帰るわ~また明日!」
「楓月紗、どっか抜けてるよね~気をつけてね!また明日~」
嘘だった。おつかいなんかじゃない。あの男性を見つけたのだ。交差点の向かえに立っていたあの男性を…
楓月紗は必死に追いかけた。そして、あるところに着いた。
『南ビル建設予定地』
と書かれていた。
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