序章

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「・・・・・ん」 薄く目を開けてみる。 まだ暗い。 いや、明るいのかもしれない。 どっちでもいいや。 もう一度ゆっくりと目を閉じた。 雨の音がしない。 良かった。 目を閉じたままほっとした。雨の日は、息苦しくて胸の辺りが重く感じる。 だから、苦手。 うつ伏せになって起き上がるのを躊躇う。 「ゔぅん・・・・・」 唸るような、いつもより少し低めの声が出た。寝起きの第一声というのは、どうも間抜けに感じる。
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