第2章~出会い~

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なるべく、足音をたてないように ゆっくりゆっくり近づいたつもりなのに 私がほんの2、3歩進んだだけで 彼はパッと顔を上げた そして長剣に手をかけ、立ち上がる 「ぅわわっ!!ちょっと…」 私は慌てて後退り 敵意がないことを示すために両手を挙げる 「…誰だ…」 彼は警戒を解かずにぶっきらぼうに聞いてくる 私はいきなり斬られなかったことに、若干ホッとしながら両手を下げる 「私はトモ…あなたは……」 国王様を殺害した犯人…? いいかけて止めた 彼が犯人だったら殺されかねない… 彼は何も言わずに私を睨み続ける まぁ、犯人なら通報とかされたら困るしね… 別にそんなつもりはないけど… 「とりあえず…私、そこに入りたいんだけど…」 私は廃屋を指差した そう、私はこの廃屋に用事があってきたのだ 彼は怪訝な顔をする 無理もない こんな廃屋にこんな普通の女の子が何の用事があるというのか… 「ここは私の練習場なの」 別に聞かれてもないけど答える 通してもらいたいし… 「練習場…?」 彼が聞き返す 「そう、私はここで毎日、魔法の練習をしているの」
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